モーターやアンプのケーブルを延長したり、充電ケーブルやコネクター変換ケーブルを作ったりするときにケーブルを使いますが、そのケーブルの被覆にAWG10とかAWG14など印刷されているのを見たことがあると思います。それっていったい何なのかと思ったことはありませんか?
AWGはAmerican Wire Gaugeの略で、米国の電線規格です。芯線の断面積の大きさによって番号が付けられています。外側の被覆材を含んだ断面積ではなく、まさに導体としての芯線だけの断面積の大きさで規格が決められています。基本的にAWG1からAWG50まであり、番号が多くなるほど細くなります。これは穴から銅線を絞り出すときに、順番に細くしていくため、番号が多いほど細くなります。またAWG1よりも太いものもあり、その表示はAWG1/0,AWG2/0,AWG3/0,AWG4/0となっています。
ちなみにAWG1では芯線の直径が約7.3mmで芯線断面積は42.41平方mm(半径3.65mmの2乗x円周率)、またAWG50では芯線直径0.025mmで芯線断面積は0.0005平方mm(半径0.0125mmの2乗x円周率)と規定されています。
実際に電動ラジコンで多く使われるいるのは大体AWG10からAWG14あたりで、芯線直径と断面積はそれぞれAWG10が2.6mm(5.3平方mm)、AWG12は2.0mm(3.3平方mm )またAWG14は1.6mm(2.1平方mm)となっています。
AWG10は6セル5000ミリ、AWG12は3セル2500, AWG14は3セル1000などに使われています。お手持ちのバッテリーケーブルの印刷を確かめてください。断面積が大きいほど多くの電気エネルギーを流しやすいので、電圧が高く容量の大きいバッテリーには断面積の大きいものが使われます。広い道路と狭い道路、あるいは太い水道ホースと細い水道ホースの例えを出すまでもなく、電気も太いほうが抵抗なく流れます。大きな電気エネルギーを流すときに不相応に細いケーブルを使うとケーブルがその抵抗により熱を発することになり、またそれを超えると溶けて断線する結果となります。反対にわずかな電気エネルギーを流すだけなのに不相応に太いケーブルを使うのはどうでしょうか?抵抗がないのでエネルギーの移動はスムーズですが今度はケーブルの重量が問題になります。小さな電動機に重いケーブルは無駄なだけです。相応の太さのケーブルを選択することが肝要です。
またこれに伴いコネクターの大きさも重要で、抵抗なく電気エネルギーを移動させるようおおよそですがAWG10のケーブルには5.5-6.0mmのゴールドコネクター、AWG12には3.5-4mmのゴールドコネクター、AWG14には3-3.5mmのゴールドコネクターが推奨されています。コネクターのスペックを確認して選択することが必要です。
ところで国内のケーブル規格はどのようになっているのでしょうか?これはJIS規格によってきめられています。全てSQ(Square、スクエア、業者はスケと呼ぶ)で規定されています。ここでいうSQとはスクエアミリメートル=平方ミリメートルのことです。例えば国内で2.0SQとは2.0平方mmのことで電気工事業者などの間では2スケと呼んでいます。これはちょうど米国規格AWG14に近いものです。またAWG12は国内規格の3.5SQ、AWG10は国内規格5.5SQと近似しています。
秋葉原あたりの電線屋さんに行くとAWG規格のケーブルを置いてあるところもありますが、やはり国内規格品が多く、SQになります。もしAWG12が欲しくてお店で尋ねた時、店の人が「それなに??」とか言われたら「3.5スケのケーブルさがしてますが、ありますか?」と聞き直しましょう、それだけで「コイツわかってるな」と思われ少しおまけしてくれるかもしれません、保証の限りではありませんが。かくいう私も20年くらい前に秋葉原でケーブルを買おうとしたとき、向こうから「何スケ?」と聞かれ、まったくその意味がわからず面食らった経験があります。
またケーブルの被覆材も重要です。加工の簡単さや製造コストの安さからPVC(ポリ塩化ビニール)が一般には多いのですが、寒くなると固くなったり、狭い場所での柔軟性に欠ける部分があり、ラジコン界ではシリコンゴム素材の被覆材が使われたシリコンケーブルが一般的になりつつあります。耐熱、耐寒性に優れ、柔軟性が高く、またさらに電気的にも高圧に耐えることから、最近では電動ラジコン界ではシリコンコードが多く使われています。
AWGのサイズや日本国内規格との比較などご理解いただけましたでしょうか?もし何かご不明の点がありましたら是非メールなどでお問い合わせいただければと思います。
AWG10
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