SKYRC社からDJIファントムのパワーアップモーターセットが発売になりましたので早速交換してみることにしました。CWタイプ2個とCCWタイプ2個、合計4個セットですからいわゆるQuadCopter用です。モーター固定用用の穴ピッチは、いわゆる19/16mmなのでそれにさえ合えばファントムだけではなくほかのQuadcopterのパワーアップにも使えます。なおCW(時計回り)とかCCW(反時計回り)というのはモーターの回転方向ではなく、シャフトに切られているねじ山の締め付け方向を表していますのでご注意ください。
さっそくファントムの上カバーを外す準備に取り掛かります。ペラとプロペラガードを外し、ファントムの裏側のボルトを外してゆきます。センター付近にも奥深く固定されているボルトがありますので忘れずに外してください。また一番先端はキャップボルトではなくM2の+ボルトになっています。
上ぶたを外してみて驚きました、全てアルミのボルト受けが埋め込まれていたり、わざわざアルミのボルト受けがねじ止めされているのです。通常だとこんな部分にはコストをかけずプラそのままでセルフタッピング方式というものが多い中、完全に設計時から何かのアップグレードや内部パーツのリプレースメントを意識した構造になっています。
センター部分には基板とNAZA M V2のコントロールユニットが装着されていて各脚にはそれぞれESCとモーターが搭載されています。
もともとから搭載されているオリジナルモーターからのケーブルがアンプに直付けされています。黒、黄、赤ケーブルがESCの端子に左から黒、黄、赤と順番にはんだ付けされています。これはCCW(シャフトネジ締め方向が反時計回り)シャフトのモーターで回転方向はCW(時計回り)です。
アンプとケーブルの接合点にはんだごてを当ててはんだを溶かし、ケーブルを引っ張って取り外します。狭い場所なので慎重に作業してください。
SKYRCのパワーアップモーターをキャップボルトで軽く仮止めしてから、はんだ付けを行います。説明書には図解と写真でどのモーターをどこに取り付け、どのように配線すればいいかが明確に示されていますので迷うことはないはずですが、人間は子羊のように迷うものです。何度も説明書を見直して確認してください。この写真はCCWと刻印されたモーターの配線の模様です。この位置から見た時、モーターから出ている3本のケーブルのうち一番上のケーブルがESCの一番右側に接続されています。真ん中のケーブルはESCの真ん中の端子にはんだ付けします。そしてモーターの一番下のケーブルは一番左端に接続されます。はんだ付けは慎重に行ってください。モーターケーブル側にも予備はんだを付け直し、ESCの端子側も再度予備はんだをするなど確実にはんだ付けを行ってください。この接続でCCWモーターはCW(時計回り)方向に回転し、シャフトネジ締め方向がCCW(反時計回り)なので、モーターが回れば回るほどねじがきつく締まってゆき、ペラがはずれることがないわけです。
CWと刻印されたモーターの配線は、CCWと比べるとどれか2本を入れ替えればいいだけです。上記写真の場合、モーターの一番手前のケーブルはESCの一番奥の端子に接続されています。またモーターの一番奥のケーブルはESCの一番手前の端子に接続されています。つまりこの場合、外側の2本のケーブルを入れ替えたことになります。この接続でCWモーターはCCW(反時計回り)方向に回転し、シャフトネジ締め方向がCW(時計回り)なので、モーターが回れば回るほどねじがきつく締まってゆき、ペラがはずれることがないわけです。
4個のモーターの交換が完了しました。上カバーを締める前にもう一度モーター位置と配線を、説明書のイラストと写真と照合して確認してください。
完全に確認し終わったらペラを取り付け、プロペラガードも取り付けます。
CCWモーターには黒キャップのペラを取り付けます。CCW方向にペラを回してシャフトに取り付けます。このモーターはCW方向に回りますので、自然に締め付けられてゆくというわけです。
反対にCWモーターにはシルバーキャップのペラを取り付けます。CW方向(時計回り)にペラを回してシャフトに取り付けます。このモーターはCCW方向(反時計回り)に回りますので、自然に締め付けられてゆくというわけです。
さて果たしてうまく回るのか、テストしてみることにしました。
とりあえず違いを知る意味もあってファントムに付属していた3セル2200のオリジナルバッテリーパックを搭載して起動をかけてみました。結果は回転方向も正しく安心しました。その上この最初のアイドリング状態で明らかにモーターの勢いが違うのがわかります。なにか力が余っているような、もう今すぐにでも飛び上がらんばかりの雰囲気でブンブン回っています。これはかなり期待できそうです。
手でボディを押さえつけて少しスロットルを上げてみました。もう音が爆音に近く、明らかにパワーが違うのがわかります。いうまでもなくこのあと写真のティッシュボックス、紙コップ、お菓子の袋などが飛び散ったのは言うまでもありません。スラスト値がどうだのこうだのというより、とにかく明らかにパワーの違いを実感できます。オリジナルのモーターが青年「氷川きよし」とするならばこのパワーアップモーターセットはステージでシャウトするギラギラの「長渕剛」のようです。とにかく明らかに別物だというのが実感です。これならフライト時も間違いなくペイロードを増すことが可能と思います。さらにバッテリーパックもKYPOMやDINOGYに変更するとどうなってしまうのかとさらに期待が増します。オリジナルファントムにパワー不足を感じている皆さんにぜひ体感してもらいたいと思いました。