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最近海外でリリースされ始めた固定翼用高機能3軸ジャイロ搭載の受信機は調べてゆけばゆくほど素晴らしいものだということが理解できます。2.4Ghzのラジオを最初に開発したSpektrum(Horizon)からまたしてもマーケットを広げるようなデバイスがリリースされました。近未来的にはというかもはやこの方向なのだろうなという強いビジョンのもとにSAFE(Sensor Assisted Flight Envelope)というコンセプトを確立させ、スタビライザー機能満載の6ch受信機AR635+AS3Xがそれです。2月のニュールンベルグで発表されていたプロトの製品版です。

これまでもいくつかのメーカーから受信機とは独立した固定翼機用の1−2軸ジャイロや3軸ジャイロシステムが出されていました。(もちろん現在でも出ています。)とはいえ各社受信機との複雑なワイヤー接続や各社通信システムとの整合性などに難があり、一部の技術的に詳しいマニアを除けばなかなかハードルの高いものです。
しかしこのSpektrumのAR635+AS3Xはオールインワンですから接続や整合性などの問題は一挙に解決されたことになります。


風があろうが無かろうが揺れることなく、間違った舵を打ったとしてもスティックを離せばもとの水平飛行に!!極端なことを言えばスロットルスティックを上げれば滑らかな離陸が、スロットルスティックを下げれば何もせずに無事着陸!!??なんてことができてしまうということです。初心者にはアシスト量を多く、慣れるに従いアシスト量を減らしてゆき、エキスパートになったらわずかなアシストで3Dフライトを楽しむことができ、いざというときには危険な状況から脱出することができるのです。初心者から3Dエキスパートフライヤーまで機体を墜落させることなく離陸、飛行そして安全に着陸させることができる優れた飛行安全装置なのです。


一方でこのような技術は操縦の練習にはならないのではないかという人もいますが、技量の状態に合わせてアシスト量を調整できるので、安全性を確保しながら操縦技量をアップさせることができるので、まさにブレークスルーということになるのではと思っています。私どものような模型屋さんにとっては厳しいですが・・・・。
なおこのSAFEに関する技術の詳細はこちらをご覧いただければと思います。

もちろんこのデバイスを効果的に使うためにはそれなりの設定が必要です。マニュアルを読んでみましたがデバイスがオールインワンになったとはいえ設定自体はやっぱり大変そうです。送信機のスティックを使って各種パラメーターを設定してゆく方式なので、電動初期のころアンプの設定を送信機のスティックで行った時と似ています。しかし3軸ジャイロの場合パラメーターの数が多く、さらにジャイロゲインなどのボリューム調整スイッチや各種フライトモードの設定などもからまり、残念ながら今のところ設定時のユーザーインターフェイスがフレンドリーとはとてもいえない状況です。ただしアンプの設定も今日ではPCを使ったり、プログラムボックスが使えるようになってきたことを考えると、おそらくですがまもなくそういったツールも用意されるのではないかと思います。



そんな現況を踏まえてなのかどうか、Horizon社からはそれらの設定を工場で行い、ARFの機体に積んじゃいましょうということで送受信機、モーター、アンプ、バッテリー、充電器まで含めたトレーナー機をわずか300ドル弱で発売に踏み切ったようです。コンセプトはSAFEですがもちろんトレーナー機ということもあるかと思いますが機能的には単純化し、しかし初心者にとっては必要にして十分なものになっています。送信機の3点トグルスイッチでビギナーモード、中級者モード、エキスパートモードを選択でき、常にジャイロが働いていますがそれぞれ各舵のアシスト量をその3点トグルスイッチで切り替えることができるようになっています。さらに特筆すべきはどのようなクリティカルな姿勢からも水平飛行に復活するパニックモードスイッチが用意されているということです。ビデオを見ていただくとわかりやすいと思いますが、たとえ送信機のスティックでスパイラルに入れた状態を継続していたとしてもこのパニックモードスイッチをオンにすると水平飛行に復帰するのです。うーん・・・・なんということだろうか、これまで墜落させてしまった多くの機体に申し訳ない思いです。なんともしかするとこのオールインワンARF1機だけでエキスパート(程度はともかくとして)フライヤーになる日もあながち遠い夢ではなさそうなのです。


また他のメーカーを見てみるとなんとあのホビーキングからも3軸ジャイロ内蔵の受信機が出ていました。もちろんSpektrumのものに比べると機能的にはかなり落ちますが、おそろしくわずか25ドルで売られています。うかうかできない世の中です。
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もちろん上記で紹介したものはすべて日本では使用できないものなので、はやくJRさんやフタバさんからリリースしてほしいと願う次第です。

また価格的なことを考えてみるとなにも安くする必要はないと思っています。安全でかつ機体を損傷する確率が大幅に減ることを考えると、またさらに設定などのインターフェイスがもっとユーザーフレンドリーになるのであれば3万でも5万でも買う人は多いのではないかと感じています。

スタビライザー機能の利点を考えれば、これまで飛ばすのが非常に難しかった小さなスケール機やちょっと不安定な精密スケール機なども楽々飛ばすことができるようにもなります。

ラジコン飛行機マーケットを広げるためにもJR様、フタバ様ぜひご検討いただけますよう強くお願いする次第です。