先日セブアートの機体についてRC Model Planes誌の取材がありました。機体はスホイ30Eで7年ほど前に出した機体ですが、その当時より動翼の面積を増やしたり、若干ながら薄翼にしたり、またキャノピーのマグネットを強化したりいろいろ改善が図られたということで再出馬させることにしました。今回も新しい説明書通りに作り、説明書通りのパワーユニットを組み込み、舵角やエクスポもほぼ説明書通りにセットしました。かなり過激な設定のように思いましたが、そんなものかと思いながら取り急ぎ製作だけは完了させました。もちろんパワーユニットなどは、説明書通りにペラはAPC 15X8E、モーターはHacker A30-10XL V3、アンプはHacker X-55 SB Pro、バッテリーはTP3300-G8-11.1Vを使いました。バッテリーの推奨は3セル2700でしたが、時間も短いと思って3300にしました。
取材は山崎さん一人、飛ばすのは僕ということになり、当日の朝を迎えました。バッテリーを載せて重心を見るとどう見てもテールヘビー、後ろがかなり重たいのです。これで2700mAhだったらさらにテールヘビーになったはず、飛ばす前からすでにコブラ状態です。仕方なく鉛をモーターマウントに巻きつけて何とか少し前に持ってきましたが、それでも若干後ろ重。舵角も説明書のままでは過激すぎるので50%に縮小それでも結構エルロンやエレベーターがバクバク動きます。山崎さんが先にあげてトリム調整、何となく落ち着きがないものの山崎さんは持ち前の”腕”で押さえこみ、僕 小林君に選手交代。何度か周回を試みたのですが、なんとじゃじゃ馬のように暴れ、全く落ち着きがありません。小林君は確かにうまくはないのですが、いくらなんでもここまでひどい状況じゃないはずとおもったものの、実際は夢じゃないかしらと思うくらいヘタ!!左ターンすると巻き込み、挙動不審の連続!!??初めての飛行場とはいえ上へ下への大騒ぎとはこのことかと思いながらも惨憺たる状況が続きました。

記事用の写真をとらなくてはならないため、「左から回して!!」、「もう少し傾けて!!」、「そこで右ターン!!」「その位置キープ!!」「機体に光を当てて!!」などなど山崎さんが僕に指示をするのですが、そりゃあもう機体は言うこと聞かない自動アクロモード!!危うく落としそうになる場面がたびたび!!??あまりの悲惨さに、山崎さんは無言になり、かなり険悪なムードが漂います。最後に山崎さんが一言「勝手に飛ばしていいよ!!、僕がいいとこ選んで撮るから!!」と最後通告。その後すぐに「撮れた、撮れた、撮れたからもういい、降ろして」と吐き捨てるように・・・明らかにやけ気味。小林君トホホながらもなんとか着陸。機体を持って戻ると「いくらなんでもヘタすぎるよ、今まで何やってたの?」と叱咤に次ぐ叱咤。7年前と若干機体は違うとはいえ、ここまでとはと思いながらとぼとぼきつねにつままれたような気持で家路につきました。

納得がいかなかったので過去を調べてみて驚きました。まずモーターは同じですがペラサイズは15X8E推奨ではなく、APC13X6.5Eが、舵角も非常におとなしいものでした。その時なぜ重心位置があっていたのか考えてみると、モーターも同じHacker A30-10XLとはいえ現状のV3よりかなり重量がありました。またバッテリーも同じ容量でも相当重かったと考えられ、そのため重心位置もカンザシ近辺に来ていたと思われます。
その後3Dアクロブームがはじまり、同時にどんどんパワーユニットが軽くなってテールヘビーが当たりまえになり、セバチャンもサイズの大きなペラを推奨してアクロ向きに機体の売り方を変換していったようです。

これはいかん!!小林君のような年寄りがこのままの推奨品を使ったらまずいぞと思い、バッテリーを3セル3700にして、ペラをAPC13X6.5Eにしてみるとわずかにおもりを積むだけで、主翼カンザシの位置に重心が来ました。そして舵角をエルロン5度、エレベーターも10度に思いっきり小さくしました。それでも舵面がかなりおおきいので十分だと思いました。そしてイザ飛ばしてみると、今度は一体何としたことでしょう、あのじゃじゃ馬が何とも穏やかなレディーに早変わり、飛ばしやすくて飛ばしやすくて涙が出るようでした。反動トルクもないので巻き込みも全くありません!!それでもパワーは十分でループもロールもなんと意のまま!!??ペラと重心と舵角でこんなに変わるものだと思い知らされました。スロットルを絞ればゆっくり高度を下げてきて何ともやさしく着陸。この組み合わせにすればスティーブを飛ばせる人ならもうばっちりOKだとおもいます。

初心者の方々や小林君のように目や反射神経の機能が衰退したフライヤーにはぜひ試していただきたい昔の設定です。穏やかで非常に飛ばしやすくなりました。おそらくスホイだけではなく、カタナやエンジェル、セブアートなども同じかと思います。推奨品ではかなり失速しやすく、3Dアクロにはいいけど落ち着きがなく一般的には少し飛ばしにくくなると思います。だからこそアクロができるのだということになるわけですが…。

ところで大暴れしたときの写真が次号 RC Model Planes誌に載るはずです、ボツになってなきゃいいのですが…。