いろんな焼き鳥屋さんにいきましたが、最近やっと昔の焼き鳥にめぐりあえましたのでご紹介したいと思います。
ここ20年くらい特にバブルのあたりからかもしれませんが焼き鳥の定義が変わったのかと思うほどほとんど生に近いくらいの状態で出すお店が増えてきたような気がします。鳥レバーに至っては血が滴り落ちんばかりの超レアで出てきたりします。いかに新鮮かをアピールしていることもあり、それにノッたいわゆる「ツウ」の人たちがそれを煽ったからかもしれません。そして妙に焼き鳥の切り身がなんとなく大きいのも若干気になっていました。もっと以前は今に比べたら鶏肉の切り身も小さくて形よく整えられていて、そして火をよく通してあってそうかといって焼きすぎて焦げてるるわけでもなくほんとにジュウジュウと音が聞こえそうな焼き鳥を串から食べていた記憶があります。一串一串がなんとなく丁寧な職人仕事であったような気がしています。
そんなこんなで最近の焼き鳥屋さんに行くと必ず「”良く焼き”にしてください」というようにしていました。それでもかなりレアで辟易していました。「肉の味がしなくなりますよ」とか「この味のわからずや」みたいな罵声と視線に耐えながらここ20年ほどレア焼きのいわゆるツウな焼き鳥を食べていたわけです。
もう昔の焼き鳥はないのかなあとあきらめかけていた昨年末、偶然四谷3丁目の車力門どおりの「鳥こう」という店に入って衝撃を受けました。厳然と小さい切り身の鶏肉の焼き鳥がきっちり焼かれて出てくるではないですか!!そしてタレの味も昔のそのままで思わず「うまい!!」と涙声が出てしまいました。一串一串の肉や野菜が小さくてそして同じ大きさになっている!!
オヤジさんの顔を見るとちょっと怖そうであまりしゃべらず、焼き場でひとり黙々と火の加減をしながら焼き鳥を焼いています。こういうのがいいですね、これだと一人でも気を使わずにいられるし2-3人で行っても気が楽です。
それと書くのが後になってしまったのですがここで陶器のグラスで飲むビールがなぜかうまい!!のです。
そのうまいビールをきれいに磨き上げられた白木のカウンターで飲んでいる間にお漬物(良く漬け込まれたカブときゅうりなどがうまい、そして量も結構あってうれしい)とウヅラの黄身が乗せられたやや多目の大根おろしなどが出てきます。この漬物に一味唐辛子とお醤油をちょっとたらして食べます。お漬物のすっぱさと辛味が微妙に混ざってうまいです。そしてビールをゴクリ、胃のために大根おろしをなんて思いながら黄身にこれまたちょっとお醤油をたらしてまぜながら食べます。口の中が洗われるようで・・・そしてまたビールをゴクリ・・・・
こんな状態で焼き鳥の焼けるのを待っているんだからたまりません。もちろん焼き場の炭は備長炭、うまくないわけがないです。お任せだと順番に一串づつ出てきます。炭で良く焼いた串に七味唐辛子やカラシをつけて・・・そしてまたビールをゴクリ・・・・こころからうまいの言葉が出てきます。なんだかオトナの男になった気がしてくるから不思議です。ビールの後は今なら熱燗がいい、その後は焼酎でもワインでも気の向くまま。たまらんです。
おシャレでツウを自称する人にも食べてもらいたいなあ・・・いやいやいいか・・・どうせわかんないよこの味はともおもったりして・・。
新宿や四谷で時間ができたときにはぜひ覗いてください。四谷荒木町のど真ん中、昔の焼き鳥が今もジュウジュウ焼かれています。絶対に後悔しないと思います。03-3353-5415
なお日曜祝日は休みで、夜6時から12時まで。