まぐろは大トロ、最低でも中トロそれも本マグロのでなきゃなんて・・かなり長い間盲信してました。だから赤身なんて・・・などとても食べるものではないと思っていました。しかし銀座「乾山」(けんざん)の「赤身のづけ」を食べた瞬間にこのバカな考えが崩壊しました。秘伝のタレにほんの短い時間浸し、さっとあげて寝かせるだけの単純な工程なのにとんでもなく気を使うモノだということに驚かされました。
その日のネタの具合によってタレに浸す時間が数秒単位で違う!!のです。ほんの少し「煮切」をつけた握りはあくまでもシズルで鏡のような透明なテカリ、それを口に運ぶと舌にまとわり付くようなねっとり感とあくまでも上品なタレの味にすべての言葉を失います。ネタとタレと時間のすべてが絶妙に組み合わされてこそこの食感とこの味なのです。ガラスの器で冷酒を流し込むともう完全に陶酔、目がウツロになってきます。江戸前の絶品をこの年になって知りました。その後多くのおすし屋さんであまりに多くの「赤身のづけ」をいただきましたが、銀座「乾山」にかなう「づけ」にはまだめぐりあっていません。比較することがもう無意味なくらい突出したうまさなのです。それだけに納得のいく「赤身」が仕入れられなければその日は「づけ」はありません。だから行く前に是非電話で確認してくださいね。幸運にも食べられたら間違いなく泣きます!!
銀座「乾山 銀座別館店」中央区銀座7−2−11 第5横須賀ビル5F
TEL(03)3571−5212